デイサービスの稼働率の計算方法|経営者が毎月見るべき指標と対策の整理
「今月の稼働率は何%でしたか」と聞かれて、答えに迷う経営者・施設長は少なくありません。定員に対する割合なのか、計画上の利用回数に対する割合なのか、基準が事業所ごとに違っていると、複数の事業所を比べたり、前年と比較したりするときに数字がかみ合わなくなります。今回は、通所介護の稼働率をどう計算し、どう分解して見るかを整理します。
稼働率の計算式は2種類ある
よく使われる計算式は大きく2つです。
1つ目は「定員ベース」の稼働率です。1日あたりの利用者数の平均を、事業所の利用定員で割って算出します。たとえば定員30名の事業所で、月の平均利用者数が24名であれば、稼働率は80%になります。空き状況や増員余地を見るときに向いています。
2つ目は「計画回数ベース」の稼働率です。ケアプラン上で決まっている月間の利用予定回数に対して、実際に利用があった回数の割合を見るものです。こちらは欠席の影響を直接とらえられるため、キャンセル対策の効果を測るときに使いやすい指標です。
どちらが正しいというものではなく、「今知りたいことに合っているか」で選びます。経営会議で複数の指標を併用する場合は、どちらの計算式を使っているかを資料に明記しておくと、あとで数字の食い違いに悩まずに済みます。
稼働率が下がったとき、何が原因かを切り分ける
稼働率の数字だけを見ていても、次に何をすべきかは見えてきません。下がった要因は、おおむね次の3つに分けられます。
- 新規の利用者が増えていない(見学・体験からの契約が進んでいない)
- 既存の利用者の欠席が増えている(体調不良、通院、家族の都合など)
- 利用者の退所・他事業所への移行が増えている
このうち、見学・体験からの契約の進み具合は、件数だけでなく「どの段階で止まっているか」を見ると対策が立てやすくなります。見学で終わっている、体験までは進むが契約に至らない、契約してもすぐ休みがちになる、のどこで止まっているかによって、改善すべき場所が変わります。
欠席については、連絡を受けた時点で理由を記録しておくと、月末にまとめて見たときに傾向が見えてきます。体調不良が多いのか、送迎の都合が多いのかによって、打てる手も変わってきます。
事業所単位・曜日単位で見ると見えてくるもの
稼働率を月単位の1つの数字だけで見ると、平均に埋もれて問題が見えにくくなります。複数の事業所を運営している場合は事業所ごとに、単一の事業所でも曜日ごと・時間帯ごとに分けて見ると、偏りに気づきやすくなります。
たとえば、平日は定員に近い利用があっても、特定の曜日だけ空きが出ているケースはよくあります。この場合、全体の平均稼働率は悪くなくても、その曜日だけ見学や体験の受け入れを強化する、送迎ルートを見直すといった対応の余地があります。
数字を事業所内で共有する際は、稼働率そのものよりも「今月何を目指して、何をしたか、その結果どう動いたか」という流れで職員に伝えると、数字が自分たちの行動とつながって理解されやすくなります。はなひろでは、こうした稼働率の推移と行動計画を職員と共有する仕組みを「space」の稼働率ダッシュボードとして自社の事業所で使っています。
まとめ
稼働率は、定員ベースか計画回数ベースかで数字の意味が変わります。まず自分の事業所がどちらの計算式を使っているかを確認し、下がったときは「新規が増えていないのか、欠席が増えているのか、退所が増えているのか」を切り分けて見ることが対策につながります。さらに事業所単位・曜日単位まで分解すると、月の平均だけでは見えない偏りに気づけます。毎月同じ基準で数字を追い、職員と行動計画をセットで共有する習慣が、稼働率を安定させる土台になります。

